見えない糸で少しずつ体が包まれていく。
「こう見えてもシアンでバイトする前はやり手の営業マンだったんだぜ?」
その話はよく聞いてた。
お調子物っぽい感じもあるアツシ。得意のトークできっと仕事も出来るんだろう。
アタシも、そろそろ昼間の生活に戻ってもいいのかもしれないね。
アツシがいてくれれば、もう自分を傷つける必要ないんだから。
「アツシ……ありがと」
アタシは愛に生きます。
その場でマネージャーの西山さんに電話をして辞めるつもりだと話した。
「結婚じゃしょうがないか。それにしても急だよな~残念!!あと1本だけ予定組んじゃってるからそれだけは頼むね」
最後まで気遣ってくれる西山さんの為にも最後は最高の演技をしよう。
その撮影を終えたらアタシは普通の主婦になるんだ!
こんなアタシでいいって言ってくれるアツシと、絶対に幸せになるんだ!