そして、引越しを来週に控えたある日。
「アツシ~今日引越し屋さん頼むね?」
「あ……ちょっと待ってくれない???」
「えっっ何で???」
アタシのやっと出来た夢が壊れた瞬間。
アツシの重い口が開かれる。
「実は……おふくろがガンなんだ。今はここを離れられない。」
「少しだけ延期してくれないかな?」
ねぇ……。
そんなの初耳なんだけど??
何で……もっと早く言ってくれなかったの??
ホントはそう言いたかったけど、アツシにも事情があったのかもしれないし。
どうしよう??
もう部屋の解約も依頼済みなのに。
そんなアタシにアツシは何故か笑顔で口を開いた。