「えっと、『トワの冒険』っていう本なんだけど…知ってる?」




「あーっ、確か小学校の図書室に置いてあった気がします」




「そうなの。実はわたし小学生のときからこのシリーズのファンで、高校生になった今でも続きが気になちゃって…」




『トワの冒険』とは




泣き虫で臆病な少年、トワが神聖獣のキノと出会い、様々な苦難を乗り越えて、立派な青年へと成長する、所謂王道サクセスストーリー




小学生のときに図書館で一目ぼれをしてしまい、児童書だというのに今でも続きが出ると本屋さんに飛んで買いに行くほど




って




「やっぱり子供っぽいよね…、この歳になってまだ児童書なんて…」




「?何でですか?流行りものの推理小説ばっかり読んでいる俺なんかよりよっぽどいいと思いますけど」




「えぇ!?沢城くんって推理小説、読めるの?すごーい」




「すごいって…普通じゃありませんか?」




「わたしなんて、推理小説読んでると頭痛くなちゃって…一度も全部読めた試しがないんだ…」




わたしの発言の何に驚いているのか、沢城くんはちょっと意外と言いたげな表情をしていた