お察しの通り、会話なんてものはなく、この無言の状態で既に30分以上経っています
もし他の人だったら問題なくやり過ごせるはずなんだけど、何せ相手は付き合ってから特に何もなくてもわたしの人生初の彼氏くんなのでかなり緊張しています
まぁ、そんな彼は眠たそうにあくびをかき、暇そうにぼーっと窓の外の景色を見ているんですけどね
本当に沢城くんは謎すぎる
一紀ちゃんに色々と彼のことを教えてもらったがいまいちわからない
沢城昴流くん
今年の入試でトップをとり、入学式で壇上に立つや否や、女生徒たちの視線を釘付けにしたらしいと言われているのだが…
なんでそんな彼がわたしのような地味な女子に告白なんてしてきたのだろうか?
別に告白されて嬉しくないってわけじゃないけど、なんかわたしと想像していたのとちょーっと違うかな…って
そんなことをボーっと考えていると、隣から向けられるわたしへの視線に気づき、そちらのほうを向くと、いつのまにか沢城くんの視線がこちらに向けられていた
「えっ…あの…何?」
「いや、何読んでるのかなって…」
どうやら沢城くんが見ていたのはわたしではなく、わたしが今読んでいる本
な、なんだー…吃驚した