何で先輩、こっちを見たんだろうか?
「おい、沢城。もっと早く走れよ、間に合わないぞ」
俺はあの時、声を発していなかったし、先輩も俺が試合を見に来ているということも知らない
さっきのあれはもしかしてたまたま俺のいた方を見ただけなのかもしれない
でもあの時、心の中の問いかけがもしひなの先輩に伝わっていたとしたら、なんだろうこの気持ち
まるで俺と先輩が心と心で繋がってるみたいだ
やばい、予想以上に嬉しすぎる
「…沢城。走りながらにやけてるぞ、気持ち悪い」
呆れ顔でこちらを見てくる新庄の足に蹴りを入れ、そのまま奴を残し、バレーの試合が行われる体育館へと走っていく
今、とってもいい気分なのでなんか誰にも負ける気がしない
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ピーっ
「試合終了。勝者、1-3」
審判が試合の結果を叫ぶと同時に、喝采が体育館中に鳴り響く