「おい、沢城!!もうそろそろバレーの試合始まるぞ!!」




「あぁぁぁ!!もう!!」




後ろでぎゃあぎゃあ騒いでいる新庄の横腹を殴り、俺はその衝動を落ち着かせる




それにたぶん先輩は俺がここで先輩のこと見ているってことにも気づいてないもんなぁ…、人が多すぎてどこに俺がいるかなんてわかりっこない




少しだけ切なくなる




「沢城…、マジもう時間ないから…」




「わかったよ、うっさいなぁ」




横腹を押さえながら苦しそうに顔を歪める新庄を横目に俺はもう一度だけグラウンドに目をむけた




ひなの先輩、俺ここにいますよ




なーんて、伝わるはずないのない想いを心の中で呟くと、さっきまで別の方向を見ていたひなの先輩が急にこちらを振り向いた




…えっ




思いもよらないことだったのでドキッとしたが、新庄に手を引かれ、すぐにその場から離れてしまい、ひなの先輩の姿も見えなくなってしまった