相手チームのピッチャーはどうやら女子ソフトボール部のエースらしく、端から結果はわかっていたが、それでもひなの先輩を応援する




それとひなの先輩の体にボールが当たりませんよーに




一球目が投げられ、あまりの速さに驚いたひなの先輩は、バットを振ることも出来ずにボールがキャッチャーミットに入るまで微動だに動かなかった




審判のストライクという掛け声で驚いたように後ろを振り向き、ミットの中のボールを確認すると、ふぉぉぉと慌てふためく




次は絶対に打つぞという感じにいきこんでいたが、二球目は更に早く、しかもボールが少しストライクゾーンから逸れてしまっていていたのにも関わらずひなの先輩はバットを振ってしまい、ストライクを出してしまう




もう後がないと泣きそうな表情になったひなの先輩が少し可哀そうに思えたのか、三球目、ピッチャーは前の二球よりかは遅い球だったが、それもバットに当てることが出来ず、そのままスリーストライクになってしまった




ストライクを三つ出してしまったというより、一度もボールを当てられなかったことがショックだったのか、ベンチへと戻るひなの先輩の背中にはしょんぼりオーラが溢れ出ていて、今すぐにでも飛び出して慰めてやりたかったが、さすがに試合中にグラウンドには入れない




ベンチに座り、肩を下ろしながら、ため息をついていると、同じくソフトボールに参加していた佐久間先輩が慰めるかのようにひなの先輩の頭を撫でる




ここからじゃ二人が何を話しているかはわからないが、きっと佐久間先輩がひなの先輩をからかっていて、真っ赤になりながらそれに対して抗議しているのはわかる




そんな時にも彼女のクラスメートたち(全員ソフトボールに参加)がひなの先輩の元へとやってきた、慰めているのかはわからないが各々ひなの先輩の頭を撫でたり、頬っぺたをつんつんしたり、一人はぎゅーっとひなの先輩を抱きしめる姿を見て、俺は心底羨ましかった




くっそぉぉ、俺だって先輩の頭撫でたい、頬っぺたふにふにしたい、抱きしめたい!!