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隣の彼の寝息が聞こえてきたのは、最終下校時刻のチャイムが鳴る30分前のことだった




それまで食い入るように『トワの冒険』を読んでいたわたしが目を休めるために不意に隣を見てみると、机にうつ伏せながら眠っている沢城くんの姿が目に入った




やっぱり金曜日の放課後はあまり人が来ないから暇だよね…




そもそも図書委員という委員会自体、他の委員会より仕事はまるっきりないし、それが目当てで立候補する人も多いが、沢城くんもそれが目的なのだろうか?




そんなことを考えながら、寝息を立てて眠っている彼を眺めていると、寝返りを打つかのようにさっきまであちら側を向いていた顔がこっちに移動してきた




…やっぱり綺麗だなぁ…




沢城くんの顔は見れば見るほど綺麗な顔で、沢城くんをあまり知らないわたしでもやっぱり少しドキドキと胸が高鳴ってしまう




髪だって薄い栗色の茶髪でサラサラしてるし




まつ毛だって女のわたしよりも長いんじゃないかってぐらい長く、まぶたに影が落ちるほど




こんな絶世の美少年がわたしなんかに告白って…やっぱり何かの誤作動なんじゃないのかな…?




そんな沢城くんの綺麗な寝顔を眺めていると、わたしの好奇心が疼きはじめる