「痛くなるんですか?頭…」




「うん。なんか推理小説って頭使うから、いったい誰が犯人なんだろーとか、これってどういうトリックなの!?って考えている内に痛くなってきちゃって…」




「…俺、推理小説を自分で推理しながら読む人初めて見ました」




「えっ!?そうなの!?」




「そうですよ。普通、読み進めている内に小説の中の探偵が勝手に推理していくんですから、そんなこと俺、したことありません」




「で、でもそれじゃあその探偵さんに負けちゃうってことで…」




そこまで言うと、何故か突然沢城くんが噴出した




えっ…?えっ…?




肩を震わせながら笑う沢城くんを呆然と眺めていると、わたしの視線に気付いた彼は一言『すみません』と謝る





「物語の中の探偵と競ってるんですか?」




「う、うん…。もし探偵さんより早く解けたら、嬉しいじゃない?」




「…先輩は本当に楽しんで本を読んでるんですね」




「う、うん…?」




そしてその会話はそこで終わり、それっきりわたしたちの間は沈黙が続いた