「オジサンの財布に一緒に入ってたから記念に貰ったの。安心して、誰にも言ってないし」
「そういう問題じゃないだろ! お前なぁ、援助交際なんて許されると思ってんのか!? 久米田、あんたもそうだよ!」

俺が声を荒らげながら怒鳴ると、今まで笑っていた歌音がぴくりと反応し、冷たい声色で言い放った。

「……世の中には女子高生の体を求めてる汚い大人がいっぱいいるのよ? 自分が悪い事をしてるって自覚してるけど、若い女とヤりたいがために理性を捨てて出会い系に入り浸ったり、渋谷や原宿辺りの路地裏で直接女の子に話し掛けたり。
あたしはヤらせてあげてないけど、お茶したりカラオケしたりしてオジサンの相手をしてるの。意外と楽しいし。
需要と供給が成り立ってるのよ。それだけで満足してお金をくれるオジサンもいれば、セックスがしたくてホテルに誘うオジサンもいるの。
あたしはそういったオジサンのお金を抜き取ってんのよ、ただのお仕置き的なもの。お茶して話して満足するような寂しいだけのオジサンからはお金は取らないし、くれるって言われても受け取らない。
そこの久米田ってオジサンも、あたしとヤりたがった汚い大人の一人よ」

さらりとそう言い放った歌音は久米田をまるで汚物を見るかのような目で見た。
久米田は冷や汗を垂らしながら、居心地悪そうに立ちすくんでいる。
皆黙りこんでしまい、嫌な沈黙が流れた。