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「おい、起きろよガキ」
「起きて下さい」
俺が少女を、久米田が少年を揺すり起こす。

「ん………」
「なぁによぉ……っ、うわぁ!? 何オジサン!?」
少女がぱっちり目を覚ましたかと思うと、いきなり俺はすごい力で押し飛ばされた。
少年の方は対照的に、ゆっくりと起き上がり周囲を見回す。

「いってぇ……こんガキ、何しやがる!?」
「何って、あんたがあたしの寝込み襲うからでしょ!」
「誰がガキの体目当てで襲うかよ!」
言い争いを始めた俺と少女に、久米田と少年がまあまあとなだめる。

「今、ここで喧嘩をしないで下さいよ。君、名前は? どうしてここへ?」
久米田が少年と少女に問う。

「あたし? あたしは野崎歌音」
ぶすっとむくれた少女が名乗ると、少年も続けて口を開いた。

「僕は、えっと……その、守口ユリアです」
「ユリアぁ!?」
俺と少女の声が重なり、響いた。

「何よ、あんた女なの?」
「ちっ、違いますよ!! 両親が、北斗の拳の大ファンで、ケンシロウって名前はおかしいからユリアにしたって、母さんが……」
「男でユリアの方がおかしいと思うけどな」
ぼそっと呟いた俺の言葉を聞いた少年は、じろりと一瞬すごい目で俺を睨んだかと思うと、はっとした表情になりぐずぐずべそをかきはじめた。