いつものようにポストを開けるとカギが入っていない。 テツはいないはずだと、ドアを開ける。 「あ、お邪魔してます」 西川アユムが、キッチンに立っていた。 俺はまた目を逸らした。 見たくない。 考えたくない。 こいつのことを。 だってこいつは―― 「届かないじゃん…」 なのに、どうして。 体が動くんだ。 笑いかけてんだ。 ターゲット、なのに――