「おい。平気か」 「……っ」 ワタル―― 刷りガラスの向こうから聞こえた声に、あたしの緊張は反応した。 ガラッ― 「おい…」 ワタルが動揺するのもおかまいなしに、タオルを巻いたまま飛び込んでいた。 「お前、怖いのか」 声が、出ない。 「安心しろ」 ゆっくりうなずくと、ワタルがそっと頭を撫でてくれた。 心地のいい、大きな手だった。