「テツいねぇのかよ」

真っ暗な部屋を見て、ワタルがポストからカギを取り出す。

この部屋にも慣れてきたあたしは、いつものようにローファーを脱いでお邪魔した。

「お茶、淹れるねっ」

慌ててキッチンへ向かうと、

「風邪ひく。先使え」

ワタルがタオルを投げてくれた。

お風呂、借りていいってこと?

「嫌なら俺外に…」

「ううんっ。違うの。ありがと」

どんどん見えてきてしまう。

本当のワタル。

一緒に過ごせば過ごすほど。

「あたし、変」

ぎゅっとタオルを握って、シャワーを浴びに入った。