「おいアユムっ」
次の日、あたしはリョウ兄ちゃんを避けていた。
どうしてかって、そんなの。
ヨリ戻したって聞くのが恐いからだよ。
「聞こえてんだろっ?悪かったよ、昨日は」
相変わらず朝から素敵な笑顔だ。
これっぽっちも、あたしのキモチなんて知らないんだろうな。
「アユム、どうかした?」
「……ごめんね、リョウ兄ちゃん。約束してる人がいるの」
「え?」
「先行ってるね」
「あ、ああ」
細い路地の遠くから、ワタルがやって来る姿が見えたから。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…