「いらっしゃいませ」

あたしのバイト先はいつも混雑しているオープンカフェだ。

「お待たせしました」

おすすめはキャラメルのカプチーノ。

甘すぎず、苦すぎず、美味しい大人の味だから。

「きゃあ、見て」

お客さんが騒がしくなり、ドアに目をやった。

もう少しでカップを落とすところだった。

「こんな所まで……」

よくもまぁ、調べたもんだ。

「あ、いたいた。西川アユム」

「困ります。フルネームは」