「強盗犯は、逆上した。わたしを真っ先に撃とうとした」 「まさか」 「そうだ。あいつはわたしを庇って、撃たれた。わたしが殺した」 「……」 ワタルは知っているのだろうか、真実を。 「本当のことを知る人間は少ないさ」 アユムパパは切なそうに言って、遠くを見た。 まるで16年前を見つめるかのように。 「なあ、ワタル…」