「テツ君、といったね。君は知っていたのか」

「ワタルの父親のこと、ですか」

「そうだ」

「詳しくは知りません。事件に巻き込まれたって」

少し黙っていたアユムパパは、俺の隣に座った。

「親友だった。君たちのように」

ワタルを見ながら続けた。

「ガラス細工の店に、強盗が入った。16年も昔だ。わたしも居合わせてね」

「ワタルの父親の店ですか」

「ああ。警官だったわたしは、金をやるから去ってくれと頼んだ」

「へぇ……」