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『ねえパパ?ここは誰のお墓なの?』

緑の広がる何もない場所で、あたしは暇を持て余していた。

『パパの大切な人だよ』

10個目のガラス細工をそっと、パパが両手に包む。

『どうして毎年ここに来るの?』

『アユムが中学生になったら、教えてあげよう』

『ふぅん』

どうしてパパが詳しく語らなかったのか。

どうして毎年そうしていたのか。

幼かったあたしには到底理解できなかった。


理解できるはずもなかったんだ。

自分以外の誰かをこんなにも大切だと思ったことがなかったんだから。