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『今日の分だって』

テツと近所の工場にアルミ缶を持ち込んで手に入れる少しの小銭。

それが俺たちの自由だった。

『なんか食う?』

テツから受け取った硬貨。

『……いいや』

大人なんて信用してなかった。

頼る大人も、いなかった。

『まだ貯めてんのか』

『うん』

『じゃあワタルにやるよ』

チャリン、と手のひらに重なった硬貨。