「っは…また泣く」

「あたしも知ってる、ワタルのこと」

「……うん」

「誰も信じなくても。あたし…」

美しい瞳。

本当はずっと、思っていた。

ワタルになら。

「さらわれたっていいよ」

笑って、言えたかな。

好きだなんて、もう遅い。

せめてあたしの気持ちが伝わればいい。

「アユム……」

見つめ合った後、軽く触れた唇。

ツ―…と、ワタルの頬を綺麗な涙が流れた。