「またな」 ワタルを見たあと、あたしに投げキッスをして見せた。 「テツ……」 「なんだよ、永遠の別れじゃねえんだからさ」 ドアノブに手をかけた、その細い目はいつもよりたくましかった。 「俺はまたここに、戻ってくるからなっ」 ワタルが叫ぶ。 ドアを見つめたまま、テツはうなずいた。 その肩は小刻みに震えていた。