綺麗な緑が広がる、他に何もない場所。

空気のおいしい、そんな場所。

「着いたよ」

だってあたしは毎年、パパと来ているから。

「どうして……」

「ちょっと歩こっか」

テツはゆっくりと、何か迷うようにあたしの前を歩き始めた。

どうして知っているんだろう。

「ワタルの父親が、ここで眠ってる」

「え…」

「16年前、事件に巻き込まれて」

「そう、なんだ」

「母親もいない。だからワタルは独りだ」

言葉が、ない。