「あたしが行く」 あの、雨のせいだ。 きっとそうだ。 「助かるよ。俺出かけるからさ」 「ねえ、2人はいつから一緒なの?」 その瞬間、テツの表情が曇った。 あたしはそれを見逃さなかった。 「ずっと、一緒だった」 そう言うと、またコーヒーに口をつけるテツ。 あのときのワタルみたいな瞳で。 「……親御さん、は?」 迷いながら尋ねると、テツは首を振った。 そんなテツを見るのは、初めてだった。