「ただい…おいっ何やってんだ」

テツの声が聞こえた。

無我夢中で動かしていた手を、ようやく止める。

「出て行く」

静かに言うと、テツが革靴を脱いで座った。

「アユムちゃん、か?」

「……」

「分かってるよ、お前の気持ちなんて」

「あ?」

「これ以上傍にいたくない。優しくされたくない」

「……」