それは最後の、俺自身の壁でもある気がする。

これ以上近付けば、俺は――

「…ル、ワタル」

「……っ?」

「なんだよぼーっとして。アユムちゃん送ってくる」

「ああ」

ドアが閉まったあと、窓辺に並んだ2つの鉢をぼんやり見つめた。

俺はアイツを騙すことなんて。


できない――