アパートに戻ったのも束の間、ふっと電気が消えた。

カターンッという音が響き、俺は風呂場へ向かった。

まさか、倒れたんじゃねぇだろうな。

「おい。平気か」

反応がない。

真っ暗で何も見えないんじゃ仕方ないと、灯りでも探しに行こうとした。

ガラッ―

刷りガラスのドアが開き、西川アユムが飛び込んできた。

カタカタと小刻みに震える体。

小さな、小さな肩。

細い腰。

落ちる雫。


「安心しろ」

俺の胸で震える、少女。

俺はこいつを騙すのか――?