その数日後だった。
鳴海と麻美が結婚すると朝礼で報告を受けたのは。
今時珍しい社内男女交際禁止の社則に反したことを隠し続ける為に、麻美は私に言わなかったのだろう。
…いや、違う。
麻美は、いつも私の愚痴を聞くばかりで自分の話しをほとんどしなかった。
ーー『ねぇ、奈々。話があるんだけど』
ーー『え?あー、そうだ!麻美聞いてよ、また部長がさ』
思い出される数年前からの麻美との会話の記憶。
何度も話しがあると言われていたのに、気にも止めずに自分の話しをふっかけていたのは私だ。
………
麻美に申し訳なくなったと同時に、自分の不甲斐なさにも落胆した。
そして、自分の本当の気持ちにも気付いてしまった。
もう、遅いけれど、
ーー私、鳴海が好きだった。