「っていうか、好きだって言ってきてくれた相手に、これ以上するなら会社に報告するって言ったんだよな?
相手、うちの会社の社員って事?!」
「ああ……まぁ、隠してても仕方ないから言うけど、受付の岩上って子」
「へー。俺来週から出社予定だから確認しとくわ。
奏一が泣かせた子」

変な言い方するなと注意する奏一くんを無視して、和泉くんが「でもさ」と私に話しかける。

「莉子としては同じ会社に奏一を好きで好きで仕方ない子がいるって心配だろ?
自分の知らないところでなんかあったら~とか考えると」

言われてみれば確かにそうだなと思った。
特に心配をした事はなかったけれど、部屋にきた岩上さんの様子を見る限り、そんなすぐ諦める感じでもなかったし、もしかしたら奏一くんにまたアプローチしてきたりするかもしれない。

だけど……不思議と不安みたいなものは感じなかった。

「うん。でも信じてるから大丈夫かも。
和泉くんに言われるまで、奏一くんが私の知らないところで何かするかも~とか考えた事もなかったし」

そう答えると、和泉くんはぽかんとして、奏一くんは少し顔をしかめた。