「あれぐらい言っておかないと引き下がらなそうだったから仕方ない。
それに、散々莉子に嫌味を吐いたのを目の当たりにした直後だったからイライラしてたし、体調悪かったから機嫌も悪かったし」

だから仕方ないし当然だ。
そんな言い方をする奏一くんに、和泉くんが笑い出す。

「おまえ、本当に変わらないな」

お酒の力も手伝ってか、なにがそんなに面白いんだろうと不思議になるほど楽しそうに笑った後、まだ瞳に笑みを浮かべたままの和泉くんが奏一くんを見る。

「だから、莉子からおまえと一緒に住んでるって聞いた時、すげー意外だった。
莉子がどんな事情抱えてようがおまえには関係ないのに一緒に住まわせてるっていうから、それ聞いてすぐ莉子はおまえにとって特別だって分かったよ。
普段のおまえだったらどんな状況だろうが他人なんかと一緒に住まないだろ」
「まぁ、そうかもな」
「絶対そうだろ。無一文だろうが裸だろうが、平気で外に放り出す冷たいヤツだし」
「そもそも裸だったらたいていの人間が部屋に入れる前に通報するだろ。常識で考えろ」

酔って会話を楽しむ和泉くんに、奏一くんは若干呆れたような声で答える。
そんな奏一くんに和泉くんは気づいていないのか、気付いた上でどうでもいいのか、明るいトーンで話を続けていた。