抱き締められた状態でのキスが嬉しくて、触れた唇に目を閉じる。
けれどそれは数秒で離れてしまって。

もっと、と本音が思考回路を通る事なく声になった。
言い終わった直後、再び頭を抱き寄せられて唇が重なる。

唇を割って入り込んできた舌に応えながら、ぼんやりとした頭で熱い舌だななんて考える。
いつも冷たい表情ばかりしているから、なんとなく矛盾みたいなモノを感じて……同時にそれを知ることができた事に優越感みたいなものを感じて、堪らなく嬉しくなった。

「ん……」

丁寧でゆっくりとした、情熱的なキスにすっかり酔っていると、急に体勢を変えられる。
ぐるっと半回転。
背中にベッドを感じて少しだけ目を開けたけれど、続けられるキスにまた瞳を閉じた。

咥内をじっくりと撫でる和泉くんに、身体が熱を帯びていく。
ウーロン茶の香りがする。私からか和泉くんからか、それともお互いからか。

和泉くんの唇が離れて、はぁと息が漏れる。
呼吸ができなかったわけじゃないのにやけに息苦しいのは、胸に詰まっている想いのせいかもしれない。

私を押し倒した体勢で至近距離から見つめてくる和泉くんの顔は、いつもよりも男らしさを増して見えた。