和泉くんの瞳がいつもより熱を帯びている気がするのは、私の気のせいだろうか。
もしかしたら、私がそうあって欲しいって期待しているから、そう見えるのかもしれない。
私の期待のこもったフィルター越しに見てるから、和泉くんの表情が私に都合よく見えちゃってるんだ。
私を見つめる和泉くんが、いつもよりも艶っぽく感じてしまうだって、フィルターのせいなんだから。
私の、勘違いなんだから。
「その……和泉くんの、Yシャツに……」
「……うん」
静かに、聞き返すように頷いた和泉くんとの距離が少し縮まった気がするのも……本当に私の勘違いなのか。
確認しようにも、金縛りにでもかかったみたいに身動きが取れない。
指一本、動かせない。
和泉くんがじっと見つめてくるから、私も目を逸らせなくて……見つめ合ったままの時間が流れていく。
熱を持った瞳に、吸い込まれる。
なんで、和泉くんは腕を緩めないんだろう。
なんで、ずっと見つめてくるんだろう。
なんで……キスするんだろう――。
背中に回った手はそのままに、もう片方の手が私の頭に抱き寄せるように回る。