だから、会話を強制終了させるためにリビングに戻ろうとしている和泉くんの腕をぎゅっと掴んだ。
和泉くんが驚いた顔で私を振り向く。

「なに?」
「和泉くんが寝て」
「その話ならもう終わっただろ」
「終わってないよ! 和泉くんが勝手に終わらせようとしただけで」
「家主の俺が終わったって言ったら終わったって事だろ」
「職権乱用だよっ」
「俺の言う事を聞くって条件なんだから乱用じゃない」

ああ言えばこう言う和泉くんに、口論の経験値がないに等しい私は完全に押されながらもぐっと耐える。

「離せって。引っ張るな」
「やだ!」

やだって、まるで子供みたいだけど嫌なんだから仕方ない。
部屋から出ようとする和泉くんをぐいぐい引っ張ってベッド付近まで連れてくる。

「大体、和泉くんよくないよ」
「何が」
「さっきみたいに会話を強制終了させるのとか! 自分の意見言うだけ言って無視して相手を従えさせようとするのはよくない!」