「でも確かにもうずっとソファで寝てるし、身体がつらいなら俺のベッド使っていいから」
「か、身体は全然大丈夫だから……っ! それに、ご主人様のベッドで寝るお手伝いさんなんて聞いた事ないよ……」

ご主人様の単語に苦笑いをもらした和泉くんが、不意に立ち上がって自室のドアを開ける。
そして、私にもくるように言った。

和泉くんは隠したいモノとかないのか、掃除も普通にしていいって言うから、毎日掃除をしに入ってはいるけど。
和泉くんがいる時に入るのは初めてだった。

本棚とベッドだけの和泉くんの自室。

「今日は疲れただろうから、ベッドで寝た方がいい。
枕はひとつしかないから、そのまま使うのに抵抗があったらタオルでもしいて」

話しながらベッドの上に置きっぱなしだった本をとって本棚に戻す和泉くんに、慌てて言う。

「本当に大丈夫だから! いつも通り和泉くんが寝て大丈夫!」

ね!と強く言ったけれど、いつの間にか和泉くんは頑固モードに突入してしまったみたいで、私の声が届かない状態になってしまったらしく。

和泉くんがこういう状態になると、いつもなら何度か言ってみてダメなら諦めるところだけど、今回はそんなわけにはいかない。