だけど今の聞き方からすると、和泉くんが求めている答えと私の答えは合ってない。
和泉くんの言っているのは、布団本来の機能とかそういう話じゃなくて、もっと精神的な事な気がする。

それが分かったから、何も答えられずにいると、和泉くんが続ける。

「まぁ、仮におまえが平気だって言っても、俺が嫌だったから」
「……他の男が使っていたモノが部屋の中にあるなんて、不愉快?」

ドキドキと騒ぎ出そうとする心臓を必死に抑え込みながら聞く。
こういう、意味深な発言はやめて欲しい。
期待している私に、追い打ちをかけるような事は控えてくれないと困る。

期待で膨らんだ風船がもっと膨らんじゃってうっかりそのまま割れちゃって、その時目の前に和泉くんがいたりしたら。

破裂した勢いで気持ちを伝えちゃうかもしれないんだから。

まるで、私に他の男が使っていた布団で寝て欲しくないって言っているように思えてしまう和泉くんの言葉を、どうにか、違う意味だ違う解釈しなきゃと必死に脳内変換してるっていうのに。

和泉くんはそんな私なんて知らずに、そういう意味じゃないと、私の風船を安易に膨らませる。

「俺が嫌なのは、おまえが他の男の布団で寝る事だ」

サラっと言われて、一瞬時間が止まった気がした。