「どうした?誰か客か?こんな夜中に?」


男の声だ。

妙に甲高く、正常ではない気配がした。

メアリは俺にクローゼットへ入るように促すと、ドアに向かって答えた。


「いえ、ドクター。誰もこないわ」


「本当か?
いやいや、三番目のおまえは嘘つきだったからなぁ。信じられないなぁ」


メアリがドアをあける。
俺はクローゼットの隙間から死にそうな想いでそれを見守った。

廊下に見えたのは長い白髪の中年男性だ。

こけた頬の上に落ち窪んだ目。
それがぎょろぎょろと辺りを見回す。

俺はその様に言い知れぬ恐怖を感じた。