「……だって、高校生なんて、まわりに若くてかわいい子たくさんいるじゃん。わ、わざわざ君も、こんな年上女彼女にしなくても──ッ、」



ぐいっ。再びあたしは、顔を上向かされる。

それからものすごい至近距離まで、不機嫌そうな彼の顔が寄せられた。



「ざっけんな。あのガキんちょの言葉は鵜呑みにすんのに、俺の言葉は、信じてもらえないの?」

「……ッ、」

「年上とか年下とか、そんなの関係ない。俺がすきだっつってんだから、それでいいだろ」



ごち、とひたいに軽く頭突きされて、とっさに目を瞑った。

そろそろとまぶたを開けてみると、やっぱり彼は、どこか不機嫌そうで。

思わず、ふっと、笑みがもれる。



「……何笑ってんだよ」

「いたたたたたたたた」



両方のほっぺたをぐいぐい引っぱられ、あたしは堪らずジタバタと抵抗した。

ようやく顔を解放してもらえて、すかさず彼から距離をとる。



「……なに、この距離は」

「だ、だってなんかいろいろ、いきなりすぎて……っ、あたしにだって、こ、心の準備とかが……っ」