類side
やべぇ…美紅。
あれは反則だろ?
お前が可愛いなんて最初っから知ってたよ?
でもさ、ほんと今日はやばいだろ!
このまま連れ去りたくなった。
でも、俺は思ってもないこと言ってしまうし…
ほんと俺、最低だな。
って考えてるうちに俺は知らねえ女たちに囲まれてるし
美紅の周りにはあきらかに
美紅を狙っている男たちがいるし…
そしたら、美紅…
誠と踊り始めた…
くっそ!!ほんとイライラする。
そう思ってると、次に変なやつが美紅に
声かけてるし…
え!あいつ美紅のボレロやぶいた?
おれはテーブルの上にあったワインの入っているグラスを持って男にかけた。
ぜってえ許さねえ…
すると、それを見てたしげるってじじいもくるし…
とりあえず美紅を誰もいないところに連れていこうと思って
一目のつかないベランダにきた。
美紅は自分で気付いてないかもだけどすごい震えていた。
俺は美紅をいつの間にか抱き締めていた。
こいつを守らねえとな…
美紅side
舞踏会もいよいよ終盤。
すると…
『最後に僕と踊っていただけますか?』
類だ。
『はいっ…』
そうして、踊っていたら
急に類が
『美紅…綺麗だな』
なんて似合わないセリフを言ってきた。
嘘だとしても、私は嬉しかった。
音楽が鳴りやみ、舞踏会が終わった。
着替えて、私達は6人で車に乗り帰った。
類side
舞踏会からかえって来て自分の部屋で日記を書いていると
コンコンッ
ドアを叩く音がしたのでどうせ陽介だろう…
『入れば?』
って言って入ってきたのは…
美紅??
俺『なんだよ。こ、こんな夜中に…
男の部屋だぞ?』
美紅『はい?なにいってんの?
言いたいことがあってきたの』
俺『あ、ああ。』
美紅『あのね、今日は…
その…助けてくれてありがとう』
少し照れ気味に笑顔で美紅が言った。
俺『今度は断るんだぞ?
てか、困ったときとかいつでも俺を呼べよ?』
美紅『う、うん…じゃあ、おやすみ。』
俺『ああ。おやすみ』
バタンッ
…俺はベッドに倒れこんだ。
あー。もう。
美紅、俺を殺す気か?
だめだな俺。
─美紅が好きだ
美紅side
無事に舞踏会も終えたし、類にお礼言えて良かった。
よしっ。日記書かなきゃ…
えと…今日は舞踏会に行って
誠と踊って…
そのあと変な男の人に絡まれて
襲われそうになって…え?
襲われそうに…?
ハアハアハア…
息ができない。
助けて…
…類
─バタンッ
そこから、気を失った…
美紅side
“美紅…起きろ…起きろっ…”
あなたは…誰??
顔が見えないよ…
もっと近づいてもいい??
『美紅!!起きろ!!!』
えっ…
パッと目を開けたら、みんながいた。
私『ここ、どこ?』
絢香『病院だよ。
美紅は部屋で倒れて、運ばれたんだよ?
そして、丸一日寝てたんだよ…
でも、良かったあ…もう目を開けてくれないかと…』
グズッ…絢香が泣いている。
私『絢香…心配かけてごめんね。もう大丈夫だから』
私『みんな、ありがとう。きっとね、寝不足だよ…ハハハッ』
類『ハハハッじゃねえよ。どれだけ…』
誠『心配したんだよ?ほんとに。ちゃんと寝て下さいね?』
陽介『ゆっくり休んでげんきになれよっ!!』
かんな『家のことは私にまかせて♪』
私『ほんと、ありがとう』
満面の笑みで答えた。
かんな『じゃあ、私達はこれで行くね。
お医者さん待ってるし。行こっ類くん♪』
そういって腕を引っ張ってかんなちゃんは類を連れてった…ズキッ
なんでだろうズキズキする…
最後に誠が私に
『今日の夕方また来るから』
って言って病室をあとにした。
コンコンッ
お医者さんが来た…
『はじめまして。あなたを担当する尾崎です』
私『よ、よろしくお願いします』
医者『これから、こういうことが重なるかも知れませんが安心してくださいね』
私『…どういうことですか?』
医者『時期にわかります。
でも、病気ではないので…死ぬことはないです』
なんだか、訳が分からない。
私、病気なのかな?
いや、でも病気の人に話しかけている感じの雰囲気ではない。
もしかして…精神科??
私、何がおかしいのかな??
類side
舞踏会を終えた翌日。
みんな、起きてきた。
あれ?でも、美紅が来なくね?
いくらなんでも9時だぞ?
俺『ちょっと絢香。あいつ起こしてきて』
絢香『まだ寝てるんじゃない?』
でも、俺はなぜか今日は嫌な予感がした。
絢香『キャー!!美紅!!誰か救急車呼んで!』
とっさに俺は駆けつけた。
俺『美紅!!しっかりしろ…!!』
10分くらいして救急車がたどり着き、美紅は病院に運ばれていった。
絢香がそばについていった。
正直、俺が行きたかったけど
『人が多いと混乱するだけですので、一人だけ同伴してください』
と言われ、仕方なくあとで向かうことにした。
いても立ってもいられない俺は
しげるじじいの車が来る前に自転車で病院に向かった。
病院について
案内されたのは…精神科の病棟??
病室に入ると、絢香が泣いていた。
しげるじじいの車もつき、かんなと誠と陽介が来た…
陽介『あのさ、ここ精神科の病棟なんだけど。なんで?』
そこで、医者が来た。
『すいません…ただ単に病室が空いてないだけで、
美紅さまは寝不足と疲れによるものです。
これから、こういうことが起きても命には別状
はないので、ご安心を…』
安心??
んなものできるわけねーだろ。
美紅…うなされてるみたいだな…
ちくしょー。
なんで、俺はなにもできないんだろう。
俺たちは病院に泊まることになった。
翌日美紅は目をさました。
そして、何事もなかったかのように笑った。
美紅side
2,3日入院したあと、私は退院した。
しげるさんの車に乗り、家に着いた。
しげる『美紅ちゃあーん無理しないでね♪』
そういってしげるさんは私を心配してくれていた
ガチャっ
私『ただいまあ~♪』
絢香『おかえり~!!美紅に会いたかった…』
かんな『美紅ちゃんおかえり♪』
陽介『おかえりー!!
また、かわいい顔が見れる日々が来るなんて嬉しいね♪』
類『おい陽介。また、バカの顔を見れる日々だろそこは。』
いつものテンションでみんなは迎えてくれた。
類は私に近づいてきて横を通りすぎるふりして
『おかえり』
って…
全く…素直じゃないんだから。
私『あれ…?みんなっ誠は??』
かんな『誠くんなら近くの図書館に行ったよ』
そこで私は図書館に向かおうとした。
すると玄関に類がいて…
類『美紅…退院したばっかりだろ?
行くなって…
言ってもお前のことだから大丈夫っていうだろ
うし…乗ってけよ』
私『い、いや!いいよ!私重いし…自転車こぐの大変だよ?』
類『そんなん知ってる…でも、つべこべ言わず乗ってけ』
私『知ってるって…むかつく!でもありがと』
そして、二人のりで図書館に向かった。
今日は自転車をこぐのにもってこいの天気で
心地よく風が吹いている。
類『美紅…軽いな…』
私『えっ?何て言ったの?
風で聞こえないよー!』
類『くそ重いって言ったんだよ!!』
私『うっさいなー!いいもん!
帰りは歩くから』
何て言ってるうちに図書館に着いた。
私『一人で行くから着いてこないでよ??』
類『へいへーいっ』
カチャ…
ドアを開けて、見渡してみると
窓際の一番右の席で読書をしていた。
どうやら、1人だけのようだ。
私はそっと近づいて…
ワッ!!っとおどかした。
誠は驚いて椅子をガタンっと倒した。
私『ご、ごめん!』
誠『びっくりした。ごめんじゃないだろ…?』
私『え、ただいま…??』
誠はにっこり笑って
誠『おかえり』
不覚にも少しドキッとした。
私『てか、誠の取り乱した姿初めて!!』
誠『あんな大きい声で驚かされたら誰だってそうなるだろっ』
私『それもそっかっ』
そして、二人で顔見合わせ笑った。
しばらく沈黙がながれ…
誠『この間は夕方会いに行くって言われたのに行けなくてごめんな…』
私『いいっていいって!用事があったんでしょ?』
誠『まあな…』
そう。私が入院してる間…
私が目をさました時以外では
誰も来てくれなかった。
みんな、忙しかったんだろうけど少し寂しかったな…
誠『じゃあ、遅くなるし…帰るか』
私『あっ!ごめん!私は類に送ってもらったから、類と帰るね』
誠『おっけ。わかった』
私『じゃあ、またあとでね♪ばいばい!』
そういって振りかえって帰ろうとしたら
誠『美紅っ…』
呼ばれたのでまた振りかえると
チュッ…
─え?
えぇぇぇぇぇ!?
誠に今、キス?!された??
『じゃあな』
って言って誠は図書館を後にした。
私はしばらく図書館で呆然と立ち尽くしていた
すると、図書館の監守の人が近づいてきて
『そろそろ閉館の時間ですよ』
と言われ、時計を見ると7時を回っていた。
『は、はい!!すいませんっ』
私は急いで図書館の外へ行った。
すると図書館の門の所で
類『おっせーんだよ!!』
類が待っていた。
私『類!?こんな時間まで待っててくれたの?
一人でも大丈夫だったのに』
類『それが待ってた人に言う言葉かよ。ったく…』
私『ご、ごめん!!あ、ありがとう…』
類『美紅大丈夫か?なんか疲れてねえか?』
私『大丈夫だよ!!元気元気♪♪』
類『なら、良かったけど』
どうしよう…
誠と会わせる顔ないよ…
そんな浮かない顔をしてると
類が私の髪をクシャクシャッとした。
私『ちょっと!!何すんの!!』
類『やっと美紅らしい顔になったな』
そうして、いつものように
くしゃっとした笑顔で類が笑った。
その瞬間。
突然頭が痛くなり、めまいがした。
倒れそうになったところを類が
腕を引っ張って抱き抱えた。
類『美紅ほんと大丈夫じゃねえだろ。お願いだから、無理はすんな』
私『う、うん。でもね、一瞬めまいがしただけだから大丈夫』
そしたら、類が急にしゃがんで
類『ほら。おんぶして帰るから背中乗れ』
私『いいよいいよ!!類つぶれちゃう!!』
類『チャリだとお前がいつ落ちるかわかんねぇし…だからほら』
私『あ、ありがとう…』
そして、類におんぶしてもらって帰った。
類の背中広いな…
類side
美紅を図書館まで送ったのはいいんだけど…
あいつらなに話してるんだろうな…
すんげー気になるわ。
ばれない程度についてってみるか。
そっと美紅のあとをついていき、
本棚の間に隠れた。
話がとぎれとぎれで聞こえてくる。
誠『この間は夕方行くって行ったのに…ごめんな』
美紅『いいっていいって!…』
え。やっぱあいつも会いに行こうとしてたのかよ…
俺は美紅が倒れて次の日の夕方に
会いに行こうと思い病院に行った。
そして、受付の方に行ったら
医者に呼び止められた。
『もしかして、君も桜井さんに?
せっかく来たところ悪いんだが、
今、検査中で明日か明後日あたり退院だから
その時まで会うのは待ってくれるかな?』
と言われしぶしぶ病院をあとにした。
─確信した。
前から薄々気づいてたんだけど…
誠は美紅のことが好きなんだな。
ぜってぇ渡さねえ…
そして美紅が
『…ばいばいっ』
って言ったあと
誠と目があった。
んで、次の瞬間…
誠が美紅とキスをした。
その後こっちに来て
誠『あとはよろしく』
なんて言って過ぎ去った。
俺は急いで門の方に行った。
俺『おい誠!!どういう事だよ?』
誠『見ればわかるだろ…
俺美紅のこと好きだから。
譲る気なんてないから』
俺『はあ?譲るもなにも最初から誠のじゃないだろ?』
誠『でも類のでもないよね?』
俺『負けねえよ?』
誠『どっちを選ぶかなんて美紅が決めることだしな…』
俺『ああ…』
誠『じゃあ、お先に』
って言って誠は帰った。
その後しばらくして美紅が来た。
俺は美紅の顔が真っ赤だったことに苛立った。
でも、それより…美紅フラフラしてねえか?
今日は自転車で帰んのはやめよう。
あいつ落ちそうだしな。
てか、出来れば一緒にいる時間長くほしいし。
おぶったのはいいんだけどこいつ…
超軽い…
俺が守ってやんねえとな。
俺『おい美紅?』
美紅は応答しなかった。
こいつ寝てるな…
寝かせてやるか…
家についた。
俺『着いたぞ?』
って言っても起きなかったから
そのまま家に帰って
美紅の部屋のベッドまで運んだ。