「聞こえてるぞ。」



(ギクッ、やばっ)



背筋をのばしながら、玄関に出てくるのを待つ。



゛ガチャっ゛



ドアノブを回す音と共に、中の人物が現れた。




そこには、お父さんよりは少し若そうないかにもいいところの奥様がたっていた。




たぶん、30歳後半ぐらい。




「これから一緒に生活させてもらいます。よろしくお願いします。」




奥様は私を下から上まで見てからキラキラした笑顔を向けてきた。



「まぁ~!なんて可愛い子。お父様から聞いてたけど、本当可愛いわー!名前は何て言うの?」




奥様に圧倒されている私の代わりにお父さんが答えてくれた。




「梨々香っていうんですよ。」




それを聞いてまた目を輝かせる奥様。



「あらま~。梨々香ちゃんって言うのね~。可愛い梨々香ちゃんにぴったりの名前だわ!」




私は、少々押されぎみに、
「…あっ、ありがとうございます。」



ぎこちなく、お礼を言った。