教室に戻ると、リョータが飛びついてきた。

「どう返事した?」

告白だと勘違いしてる。
俺はリョータをぺしっと叩いた。

「ばーか。そんなんじゃねえよ」
「じゃあ何を話してたんだよ」

「クリスマスに暇な奴同士集まって遊ぼうって。お前も来いよ。新垣も来るらしいから」

「は?弥生が・・・・?」


リョータは一瞬不安そうになった。
目で新垣の姿を追って、はっとしたように顔を戻した。

「・・・・・・だから、あいつは別に関係ねーだろ!」

「はいはい。じゃあ他の女子も来るから来いよ」

リョータを適当にあしらって、アキラと慎哉のところへ行く。

「お前らは来ないよな」
「彼女に会わなくて誰と会うんだよ」
「俺その日もバイト入れてるし」

二人が口々に言った。

「バイトぉ?クリスマスにまで?」
「ずっと一緒にいられるし。夜にイルミネーション見に行く予定」

慎哉は嬉しそうに笑った。
切れ長の瞳を優しく細める。



気づくとリョータは新垣と一緒にいた。
何かまた言い争ってる。


「はいそこイチャつかなーい」

いつものように周りがからかい始めた。

2人は顔を真っ赤にして
「誰がこんなのと!!」

って叫んでた。


周りがどっと笑い出す。

あの2人もなかなか進展しないな。




その騒ぎのすみで、アキラがこっそり俺に近づいてきた。


「お前、未央ちゃんは本当にいいのか?」

心配そうな顔で覗き込んでくる。


「・・・・・・・そろそろ吹っ切れなきゃだめだろ。クリスマス楽しんでくるから」

「・・・・そうか」



アキラはそれ以上何も言ってこなかった。



忘れなきゃいけない。

曖昧な状態は、きっと遠藤を傷つけると思うから。



そして、おれ自身も。