高校1年生、夏。
ある日の、朝。とても暑くて、今にも溶けてしまいそうだ。



「翔~っ!!!あんたちょっと待ちなさいよぉぉぉ!!」

「誰が待つかよっ、この男女~っ!!」

「誰が男女じゃボケぇえぇぇぇぇ!!!」



・・・こんな暑い中走り回っているこの煩い小学生レベルの男、大久保 翔 は生まれたときからずっと一緒。
いわゆる『幼馴染』だ。


何というか危なっかしくて、ぼーちらで、悪戯好きで、アホで馬鹿で・・・
とにかく落ち着きがない。

でも、いつからだろうか。

私、東雲 美月 はコイツに、変な気持ちを抱いてしまった。


『嫌い』とか、『気持ち悪い』じゃない。
むしろ心地いい。
ドキドキして、胸がきゅうっとなる。

この感情は何なのだろうか。
まさか翔に言える訳・・・・ないしね。




「・・・あっ、そうだ。」

「うわあっ、ちょちょちょ・・・急にストップすんな!!」

「あ、わりぃわりぃ。ちょっと美月に聞きてぇ事あってさ」

「・・・何、改まっちゃって」

「俺さー、前々からお前の事_」

「・・・・?」

「男女で馬鹿でぼーちらだと思ってたんだよなああああ!!」



と、今日一番の大声で叫び、ニカッと私に笑顔を見せ・・・
逃走。




「んなっ・・・・何言うかと思えば!!おいこら待てえぇぇええ!!」




何を言おうとしたかわかんないけど・・・
そんな事、わざわざ改まって言うか!?

本当小学生以下・・・


そんなこんなで、私達はいつものように・・・・遅刻したのであった。