「ちょっと!」

そう言って彼の隣にいくと、おしぼりで口元を拭いてあげた

「だいじょうぶ?」

「!!」

どんっ

声をかけて彼と目が合ったとき彼が急に体を押してきた

「え?ごめん」

「ああ、すいません」

とっさに謝ると、彼も謝ってきた

自分の席に戻ってちょっとの間、沈黙が流れたかと思いきや

「すいません。俺、あなたがあまりにも近かったので恥ずかしくて…
好きな人の顔があんなに近くにあったらその、俺」

「へ?
あ、そう」

あまりにもストレートに唐突もなく言ってきたから、声が裏返って、素っ気無い返事しかできなかった

「?顔赤いですよ、及川さん。大丈夫ですか」

「うん」

無自覚とか、ほんとずるい

「というか、告白もしてないのにそういうこと言うかな?」

「え?俺…はっ!!」

彼は何度か目を泳がせて、それから思い出したように声を出した