「ちょ、ちょっと!」

いきなり立ち上がった彼をなだめるようにして、座らせた

「すいません、俺あなたに話があってきたのに…
逆にあなたに迷惑をかけてしまった。それに急に泣き出してしまって
ほんとにすいません、ほんとに」

最後のほうは小さくなって聞きずらかったが結局謝られた

向かいに座っている彼はシュンとしたように頭を下げていた
頭には犬の耳が見えるのはきっと私の気のせいだ

「あのさぁ、何ですぐ入ってこなかったの?」

「いや、あの、俺、4時には来てたんですけど、あなたを前にしたら急にどうすればいいか分からなくなって、校舎を50周程していました」

「50周!!」

「はい」

そんなことがあったのか…
でも50周って、緊張してたからって普通するかな

「それではな」

「お待たせいたしました。ミルクティーとアイスコーヒーお持ちしました」

「あ、どうも」

話を進めようとしたら丁度頼んでたものがきた
反射的にお礼をしたのでいったん話は止まった

「はい、コーヒー」

「ありがとうごさいます」

彼にコーヒーを渡し、ミルクティーを一口飲んだ後、
話を切り出そうとしてミルクティーに向けていた目を、彼に向けた

「それで、さっきの」

私が話を切り出したとき彼はコーヒーを一口飲んだ

「あっつ!」

そう言って彼はコーヒーをふき出した