夕闇は深くなり寒くなってきた。


流石に11月の下旬にもなった夜は寒い。


しかも今の服装はパーティ用の物だしね…

コート、いや、せめてマフラーが欲しい…

マフラーが恋しい…



そろそろ帰ろうかと考えていると、


「…ゆ……ら……!」


遠くで翔太の声が聞こえた気がした。



あ!!

忘れてた!

待ってろ、って言われたんだっけ!?


わー、完全に忘れてた!

絶対怒られる…

130%怒られる…


帰らなくちゃ…



ふと手元のクリスタルを見た。


こんなに砕けていたら、もう2度と映像は見れないだろう。

2度と映像が見れないクリスタルは、ただの石ころも同然。

ここに置いて行こう。

元々あった場所に置いておくのが1番だよね。


それがあった大体の場所にクリスタル置いて、あたしは自分に魔法をかけた。


「"フライ"」


あたしの名前を呼ぶ翔太の元へ、翼を広げて飛び立った。