映像はそこで終了し、頭痛も収まった。

左右を見渡すと、やはり月明かりに照らされた庭園があって、周りには真紅のバラが咲き乱れていた。


パキン、と何かが割れる音がして手元を見ると、クリスタルはあたしの手の中で砕け散った。


サファイア…辛かったんだろうな…

告白することもできないまま好きな人がもう手の届かない場所に行ってしまって。

それも、相手は自分の親友で。


…今のあたしの状況によく似ている。

そう思うとなぜか胸が痛かった。


救いたい、と思ってしまった。




分かってるよ。




サファイアは、


ワイバーンの身体を乗っ取り最後にはその長を殺して、

何人もの人を操っていて、

あたし達"ガーネット"を潰そうとしている、

極悪人物で憎むべき敵だって。


それでも、救ってあげたいと思ってしまうのはきっと、今のあたしとよく似た境遇にいた人だからなのかもしれない。


ただの同情なのかもしれない。



それでも、救わなくちゃいけない気がするんだ。


何でなのかは分からないんだけど、心が救ってあげてと訴えているの…


ワイバーン…ごめんね…

あなたを殺した人を救いたいと思ってしまうような人間でごめんね…

それでもあたしは、サファイアを救いたいんだ――――――