「どうしたの由良？なんだか辛そうだよ…？」

美玲が心配そうにあたしを見つめる。

「え？そうかな？でもそう見えるだけだよ！あたしは大丈夫。元気だから！心配しないで。ね？」

あたしは笑顔を作った。


二人は顔を見合わせた。


いけない。

二人に心配かけちゃってる…


笑顔を作って、心が見えないように…ポーカーフェイスで頑張るよ！

あたしはそう決意した。



すると、ドアが勢いよく開く音がした。


「「「「「「おはようございます！」」」」」」


翔太が入ってきた。


息を切らしている。

走ってきたのかな？

まぁ、もうそろそろ朝のホームルーム始まるし、当然のことなんだけど。

息を切らして走るくらいなら、もうちょっと早く楓花さんとの話を終わらせて余裕をもって教室に入ってくるべきだよね！

それともリア充さんは周りが見えないのかね？

時間感覚を失ったのかね？

ありゃりゃ、それは困りものですなー。


翔太はクラスの皆さんからの挨拶を無視して、あたしの方に迫ってくる。

「お前、どこ行ってたんだよ！」

翔太が怒ったように聞いてくる。


なんでそんなに怒るの？

あたしは気を利かせて二人きりにしてあげたのに。



「……教室だけど？」


二人きりでいられるように、あたしが二人の邪魔にならないように、ひっそりと先に来たんだもん。