景色がまるで違って見える。

さっきと何一つ変わらないはずなのに…


「ねぇねぇ見た⁉︎楓花様と翔太様のツーショット!」

「見たよ!お似合いだよねー!」

女子生徒の声が聞こえてくる。


そうだよね…

やっぱりみんな、そう思うよね…

あたしだってそう思うよ。


普通のことなのに。

自分でも思うことなのに。


その言葉を聞くだけで、なんだか心が真っ黒のペンキで塗り潰されたようだった。

何で…あたしがショック受けてんのよ…

ただあたしが勝手に片思いして、勝手にフられただけじゃない…

誰も悪くない。

翔太も楓花さんも、何も誰も悪くない。


そうでしょう?

あたしが勝手に恋したのが悪かったんだ…



ポロ…

涙が落ちて制服に水玉模様をつくる。


何で?

何で泣いているの、あたし。


今から学校だよ?

今日はこんなに晴れているんだよ?


泣いてなんていられないじゃない!

ね!

今日一日は明るくいよう!


涙を拭いて、あたしは前を見て教室へと向かった。