「…そうだよ、優実。
逃げるのはダメだよ?
田崎だって
理由話されないままは嫌だろうし」



なにも言い返せないあたしに、
果苗が優しく語りかけるようにいった。




「……う、ん」

「優実、自分の思ったことでいいの。
相手にわかりやすく伝えよう、とかじゃなくて。
優実の素直な気持ちを、
田崎に話してみな?
きっとちゃんと聞いてくれるよ」



田崎はそういうやつでしょ?


果苗はそう付け足した。



……大和は確かに、
ちゃんと話を聞いてくれる。
ただ歩いてるだけ、ただ立っているだけ、
それでもちゃんと耳を傾けてくれる。