もう授業は終わったから、
大広間にも中広間にも、
もちろん小広間にも誰もいない。


ガラガラガラ


ふすまをあけると、
もう大和はそこにいた。



「…大和?」

「……来たか」


大和はあたしの方を向いて
ゆっくりと近づいてきた。


「ねぇ、大和」

「ん」

「…あの日、あたしが泣いてるのをみられた日、
あたしが見てたこと知ってたの?」

「……あぁ」

「じゃあなんで、前澤さんを…?」

「……」

「大和…っ!」

「…からだよ」

「え…?」