でも、今なら分かるよ。


あおちゃんの悲痛な叫びを聞いた今なら、なつでも分かる。


「確かに、なつは病気じゃないから、あおちゃんの気持ちは全部は分からない」


健康ななつには、どう頑張ってもあおちゃんの気持ちを知ることはできないから。


「……だけどね、あおちゃん」


なつは、あおちゃんの瞳をしっかりと見つめる。


「なつは、あおちゃんの気持ちを知りたいって思ってるよ」

「……え?」

「大丈夫。きっと、大丈夫だから。なつがずっと、あおちゃんのそばにいるから」


なつはそう言って、目の前にいたあおちゃんの体をそっと抱きしめた。


「……ずっと?」


そう言いながら、なつの背中に回されたあおちゃんの両腕。


その両腕は、なつでも分かるくらい小刻みに揺れていて。


あおちゃんの感じている恐怖が、なつにもしっかり伝わってきて。